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804話

古蜀では千年来、人が死ぬと七つの魂は地に入り、三つの魄は天に昇るという言い伝えがある。

親族が亡くなった後、その日の夜の子の刻前に沈香の木を焚き、外を彷徨う死者の魂を家に導かなければならない。

家の中でしか、死者は地に入り天に昇る道を見つけられないからだ。

もちろん、これは迷信に過ぎない。

古蜀では沈香の産出量が多くなく、そのため価格も安くはなかった。一般家庭では死者が出ても松の木で代用し、沈香など使う余裕はなかった。

しかし王室ともなれば貴賤を気にする必要はない。沈香は油分の分泌量が多く、非常に燃えやすく香りも良い上、心を鎮め邪気を払う効果もある。

毎年冬の寒い時期には、蜀王の天...