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664話

薄暗い光の中、李襄陽は走りながら、この空間には木製のベッドやテーブル、椅子、さらには一度も使われていない灯油ランプまであることに気づいた。

ただ、それらの木製品はほとんど虫に食われて使い物にならなくなっており、一部は腐り、蜘蛛の巣で覆われていた。

風の流れを頼りに、李襄陽は数回の呼吸だけで小さな井戸の前に辿り着いた。この井戸はおそらく、避難してきた人々に飲み水を供給するために掘られたものだろう。

灯油ランプを手に取り、ライターで火を点けて井戸に投げ入れると、李襄陽は井戸の水がすでに枯れていることを発見した。しかし下の空間はかなり広く、耳を井戸の縁に当てると、かすかに水の流れる音が聞こえた...