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380話

「よし、成功者っぽく髪型を整えて、かっこいいスーツを着込むか」

方部長は鏡に映る自分の油ぎった七三分けの髪をさらりと整えた。もっとも、いくら身なりをかっこよくしても、彼の負け犬のような落ちぶれた様子は少しも変わらなかった。

彼には予感があった。今日の結婚式に出席すれば、十中八九、恥をかくことになるだろうと!

正直なところ、方部長はこんな格好をしたくなかったのだが、母親が頑として彼にそう着るよう主張したのだ。

母の言葉を借りれば、見た目だけは負けられない。副処長の座を失ったとしても、気力だけは満々と見せなければならないのだ。

方柔柔に「もっと綺麗に着なさい」「もっと肌を見せなさい」と催...