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1659話

一人の速さはどれほど速いのだろうか。

楊動が見た中で最も速い人間と言えば、それは古蜀王だろう。だが彼女の速さは、まるで幽霊のように音もなく、気づいた時には既に目の前に現れているという、不気味な速さだった。

速さの怪異さ。

阮朝歌も速い。だが彼の速さは、轟く雷のように、荒れ狂う風のように、真正面から襲いかかってくるものだ。

まばたきする間もなく、阮朝歌は楊動の目の前まで迫っていた。

この速さだけでも、楊動は十二分の警戒心を抱かざるを得なかった。これは宁苗苗にも引けを取らない高手だ!

バン!

阮朝歌が楊動の太陽穴めがけて拳を打ち込んできたが、後者は腕を上げて防いだ。

先手を取ったも...