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153話

広大な草原に停車している黄色の四駆車。運転手の姿はない。

「スナイパーハンター」が運転席に座り、キンマの実を噛みしめながら、歩み寄るヤン・ドンを軽蔑の眼差しで見つめていた。

彼女には理解できなかった。死霊の十字架と呼ばれる凄腕の殺し屋ジェラルドが、なぜこの中国人の軟弱男を今回の任務に呼び寄せたのか。単にリン・インビンの恋人だからというだけの理由なのか?

こんな鶏すら縛れないような弱そうな男は、リン・インビンが救出されるのをただ待っていればいいだけで、わざわざ付いてきて足手まといになる必要などないはずだ。

今回の敵は、武装した恐るべきコブラ組織なのだから。

ヤン・ドンが乗り込み、ドアを...