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1330話

伝説の髯客(けんきゃく)、本名は張仲堅(ちょうちゅうけん)。

彼は揚州の大富豪、張季齢の息子だったとされ、昆侖奴に師事していたという。

天下が大乱の時代、一身の武芸を身につけた彼は、兵を挙げて天下を狙おうとした。

だが後に李世民と会い、その器量に及ばないと自覚し、天下を狙う野心を捨てたのだ。

その間、彼は紅拂と李靖と知り合い、紅拂に思いを寄せていた。

後に紅拂が李靖に嫁いだことを知ると、心が折れ、全財産を李靖夫妻に贈り、自ら黙って去っていった。

野史によれば、彼はその後、扶余国、つまり今の北朝の近くにある七十二の島国の主となったという。

これがほぼ歴史に記録された髯客の全てであり...