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1242話

古蜀王の知識は余りにも少なかった。

あるいは『古蜀四籍』に記されていることそのものが、完全なものではなかったのだろう。

古蜀王の天地を通じる術にせよ、『古蜀四籍』に記された奇妙な呪術にせよ、つまるところ千年以上前に南疆地域の青烏部族の巫師から伝わったものに過ぎない。

言い換えれば、古蜀王も年幇の幇主も、その技術の源を千四百年前までさかのぼれば、南疆にたどり着くということだ。

千年以上の歳月が流れ、古蜀王の先祖が知っていた奇門鬼術は伝承されず、ただ世を圧する武功だけが残された。

年幇の幇主はさらに悲惨で、『古蜀四籍』から先祖の偉業を垣間見るしかなかった。

要するに、古蜀王...