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86話

「証拠として検察側が提出した写真は認められません。新たな証拠を提示してください」と裁判長は検察側に言った。

裁判長の言葉を聞いて、私の心はほっと緩んだ。事態は良い方向に向かっているようだ。

「裁判長、一言よろしいでしょうか。写真が証拠として認められないということは、彼らが私のクライアントが家を出たことを確定できないということです。そうなれば、その後の一連の主張も成立しないはずです」

張弁護士の自信に満ちた様子に、私の不安は少し和らいだ。

もしかしたら今日にも釈放されるかもしれない——私はそう期待して胸が膨らんだ。

「検察側、弁護側の主張についてどうお考えですか?」裁判長が尋ねた。

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