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702話

老林の一番の弱点は女性の涙を見ることができないことだ。特に美しい女性の場合はなおさらだ。ましてや僕は心から彼女のことを好きになってしまった。どう言えばいいだろう?言葉にできないような好意というか、彼女に近づきたいという気持ちだ。美女が好きなのは確かだが、こんな感覚は今まで一度も経験したことがない。

まあ、これは一目惚れというやつだろう。そうでなければ何なんだ?

こういう理解できないことに出会うとき、僕のいつもの対処法はもう考えないことだ。心の感覚に従うだけさ。彼女が好きなら、手に入れるだけ。それ以外はどうでもいい。

「泣かないで、メイクが崩れちゃうよ」

僕は冗談めかして言った。

「え...