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610話

「君に尋ねる前に、まずは新都の親分に昇格したことを祝福したいね。それだけでも、君の運が向いてきたってことだよ。俺たちも目標に一歩近づいたってわけだ」

私は茶碗を持ち上げて彼とぶつけ合わせた。

「ありがとう」

彼は頭を反らして杯の中の茶を飲み干した。

私は急須を手に取り、再び彼に茶を注ぎ、そして茶碗を指差しながら言った。「茶も所詮は水だ。つまるところ喉の渇きを潤すだけのものだろう。どうしてあんなに回りくどいことをして、あれこれ手間をかける必要がある?結局は一口で腹に入るんだから。あの小洒落た生活なんて、本当に楽しめないよ」

鐘輝は笑いながら言った。「金持ちの贅沢さ。彼らが飲んでるのは水...