Read with BonusRead with Bonus

601話

「わかったわ」

私の期待通りに、彼女が小さな声でそう言った。その二言だけで私は嬉しくて飛び上がりそうになった。ケケケ……いったん扉が開けば、もう彼女の思い通りにはさせない。

電話を切ると、耳を扉に押し当ててさらに様子を伺った。

かさかさという音が微かに聞こえ、それから足音が、そして「カチッ」という音が。私の心臓はその瞬間、興奮で高鳴った。

計画はシンプルだ。扉が開いたら、すぐに飛びかかって彼女を抱きかかえ、寝室に連れ込み、鍵をかける。

一連の動作は息つく間もなく一気にやってのける。

次の瞬間。

扉が開く音がした。だが目の前の扉からではなく、横の方からだ。主寝室の方だった。

まず...