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576話

「また悪知恵が浮かんだのか?」

劉聡が振り向いて、口元に笑みを浮かべながら尋ねてきた。

「お前な、こんなに長く俺の側にいるのに、まだそんな言い方をするのか。悪知恵じゃなくて、良策だろうが」

俺は不機嫌そうに彼に言い返した。

「聞かせてみろよ」

聞かせるもんか。教えてやらないぞ、ふん。

俺は窓の外に顔を向け、さっきの考えをさらに練っていた。良い策というものは何度も吟味しなければならない。少しでも抜け穴があれば、自分の首を絞めることになりかねない。盗人猛々しいとはこのことだ。

突然、四文字が頭に浮かんだ。無中生有。

郭偉と朱旭は盛世集団の十周年記念パーティーで衝突があった。その時、...