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507話

彼女は立ち上がろうとしたが、私はすぐに彼女を引き留め、動かないようにして、小声で言った。「聞かないで。もしこれが小虎たちに知られたら、家宝が私だけに渡されたって、母さんが贔屓してるって言われるよ」

「バカね、これはあなたの林家の家宝でしょ?崔家のものじゃないんだから、彼らが妬むわけないじゃない」

私は一瞬、頭が真っ白になった。

そうだ、彼らが妬む理由なんてない。これはそもそも同じ家の問題じゃないんだ。

「これは本当に我が家に代々伝わるものなんだ。信じないなら、この文字を見て。龍鳳の紋様の真ん中に小さな円があって、その中に一文字ある。あれは...古篆文字で『林』って書いてあるんだ」

ま...