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426話

昔、貧乏していた頃、デパートのブランドショップの前を通るたびに、中を覗き込むのが好きだった。買えるわけないが、見るだけなら構わないだろう。少しは見聞を広めることもできるというものだ。

特に腹立たしかったのは、多くの店員が私を見る目に軽蔑の色が浮かんでいたことだ。

くそっ、俺は盗みも強奪もしていない。農民だっていいじゃないか。彼女らの邪魔をしているわけでもない。先祖代々農民だと言うなら、彼女らにはご先祖様レベルの人間を見下す資格なんてないはずだ。

まぁ、そもそも服が陳列されているのは見てもらうためじゃないか。

もっと腹が立った出来事もあった。ある服が特に気に入って、思わず店に入ったことが...