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392話

昔、落ちぶれていた頃、俺も工事現場でレンガを運び、壁を積み上げ、鉄筋を切断し、雨漏りする部屋に住んでいたことがある。

工事現場のテントで寝ていた時のことを覚えている。夜に雨が降って、朝起きると、水位がベッドの板まで迫り、靴や洗面器などが水の上に浮かんでいた。思い出すのも辛い過去だ。振り返れば、涙でいっぱいになる。

はぁ、出稼ぎ労働者の日々はあまりにも苦しい。

大通りを歩きながら、安全ヘルメットを被り、全身汚れて、人に見下される気持ちがどんなものか、俺は痛いほど知っている。

だから、この小柄でずんぐりした男が労働者の給料を払っていないと知った時、すぐに決意した。相手が朱世光の手下...