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331話

私は一瞬頭が真っ白になった。こいつは本当に根性なしだな。

俺は泣き声に過敏だが、それは美人限定だ。男の泣き声なんて、くそくらえだ。

軽蔑の眼差しで志輝を見つめながら、もう一度尋ねた。「もう一度聞くぞ、十七歳の少年を捕まえたか?」

彼は首を横に振ろうとしたが、私の足に踏まれてびくともできなかった。

「頼むから、俺たちを見逃してくれ。どんなに度胸があっても、毒蛇の関係者なんて捕まえる勇気はないんだ」

志輝は泣き声を混じらせながら慌てて言った。

「最後にもう一度聞く。今日の午前中、誰かを捕まえたか?」

「いいえ、本当にいません」

「嘘をついたら、どこに逃げても必ず見つ...