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202話

「兄さん、このカードを持っていって。暗証番号は6が六つ、好きなところに行ってきて。明日また迎えに来てくれればいいから」

私はキャッシュカードを取り出して高進に渡しながら、少し気まずそうに言った。

「わかった」

兄貴はカードを受け取ると、私に意地悪く笑いかけ、「じゃあ、楽しんでくるよ」と言った。

「行ってらっしゃい。せっかく出かけたんだから、思いっきり楽しんで」

「いい弟だな」

高進は笑いながらそう言うと、車を発進させてマンションの外へと走り去った。

ええっと、兄貴は本当に気ままだな。俺の生死なんて全く心配してないじゃないか。俺はただ礼儀で言っただけなのに、本当に行っちゃうなんて。...