缄口

39話

傅白は後退りせず、ほぼ自分の胸元に寄りかかっている相手を見下ろした。「理解できないよ、贺宜年」

これは贺宜年が初めて傅白に名前で呼ばれた瞬間だった。

「じゃあ、説明してあげる。僕は今の関係と距離感が気に入ってる。君のことは好きだけど、まだ君を手に入れなきゃいけないところまでは来てない。こうしていれば、いつか追いかけるのに疲れたら、簡単に身を引くこともできる。わかった？」

傅白は体の横で握りしめた拳を緩めたり締めたりしながら、一歩下がって二人の間に距離を作り、皮肉めいた笑みを浮かべて言った。「君は僕を利用しているんだな」

「そう考えてもいいよ」

「これが君のいう好きなのか？」

「本当...