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11話

「安琪は彼の髪を撫でずにはいられなかった。「覚えておいてね、ここはエアコンが効きすぎだから、あまり長く寝ないでよ」

宜年は彼女の手を払いのけた。「やめてよ、髪型が崩れちゃうじゃないか」

まるで甘えているようにも聞こえる。

安琪は満足げに教室を去り、残ったのは白と宜年だけになった。

宜年は立ち上がり、白の隣の席に座り、顔を傾けてこの新入生のアルファを見つめた。

今日もまた隔離シールを付けていない。けれど今回、宜年は自分の好きな白茶の香りを嗅ぎ取れなかった。目の前の男は彼が近づいたことに気づき、表情を変えずに尋ねた。「贺先輩、何か用ですか?」

宜年は少し考えてから、頷いて聞いた。「まだ...