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255話

「ナイトクラブ」

陸晨たちが車から降りると、彼は店の入り口にある巨大なネオンサインを見上げ、そして視線を袁貴河たちへと移した。その唇には何か含みのある微笑みが浮かんでいた。

袁貴河は大きな腹を撫でながら近づいてきた。風に吹かれて少し酔いが覚めたものの、楚夢雪の魅惑的な姿に貪るような視線を向け、深く息を吸い込んでから口を開いた。

「楚社長、陸さん、どうぞ」

「袁社長こそ、どうぞ」

楚夢雪は花のように艶やかに、わずかに身を寄せて道を譲り、礼儀正しく返した。

彼女の立場からして、こういった場所に足を運ぶことは滅多になかった。しかし今日は陸晨がいるということで、なぜか思わず承諾してしまっていた...