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56話

冷澜之の推測は間違っていなかった。

沈蘭児が昨日こっそり宮中へ行き、公主に養子の身分と側室の件を打ち明けようとしたのは、その日受けた衝撃が大きすぎて、冷静さを失い、興奮状態で行動してしまったからだった。

一晩かけて落ち着きを取り戻し、趙氏と兄の説得を受けるうちに、彼女の心の昂ぶりも収まり、この秘密を漏らしてはならないことを理解した。

欺君の罪は軽いものではない。一歩間違えれば、侯府全体が処刑されかねないのだ。

彼女は両親や兄が死に追いやられるのを見過ごすわけにはいかず、良心に背いてでもこの秘密を胸に秘めるしかなかった。

「お兄様」沈蘭児は複雑な眼差しで沈逸之を見つめた。「公主様は良き...