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451話

実際のところ、甘い恋愛なんてなかった。

顧湛は馬車に乗り込んでからとても大人しく、冷藍之を抱きしめたまま一晩眠っただけだった。

冷藍之は自分が興奮して眠れないだろうと思っていたが、彼の腕の中にいると、いつも不思議なほど安心感に包まれた。

最初は確かに少し胸が高鳴ったが、徐々に心は落ち着いていった。

そして、いつの間にか夢の世界へと誘われていた。

翌朝、冷藍之が目を覚ますと、隣には誰もいなかった。

流紗が帳を開けて入ってくると、冷藍之は何か言いかけて言葉を飲み込んだ。

彼女が何か言う前に、流紗は微笑んで告げた。「典司様はちょっと用事で出かけられました。すぐに戻られますよ」

その言葉が終わるか終わ...