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349話

「姫様、あそこで大道芸人が出ていますね?」

流紗は馬車に座りながら、少し離れたところに人だかりができているのを見て、身を乗り出して暫く眺めた後、興奮気味に言った。

冷藍之は三重四重に人が囲んでいる様子を見て、眉をひそめた。「人が多すぎる。何か起きかねない。もし見物したいなら、彼らを宮に招いて個人的に演じてもらうこともできるが」

流紗は心の中でため息をつきながらも、表情には出さなかった。「ただ珍しいと思っただけです。実際、何度も見れば大したことはないでしょうし」

大道芸はあの雰囲気を楽しむものだ。誰かと一緒に驚き、一緒に歓声を上げてこそ意味がある。自分一人で見るなんて、何の面白みがあるだろう?

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