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334話

「若様はひどすぎます!」

帰り道で、流紗はずっと小声で愚痴っていた。

彼女は幼い頃から姫と共に育ったため、当然、若様と姫の間の事情も知っていた。

若様は幼い頃から気性が荒く、姫だけが彼を懐柔できる存在だった。

姫以外の誰の目にも、若様の姫への感情が並々ならぬものだということは明らかだった。

ところが、姫が及笄を迎える前の年に、若様は何かに取り憑かれたかのように、突然姫を避けるようになった。

姫が自ら何度か彼を訪ねたにもかかわらず、彼は姫の顔さえ見ようともせず、背を向けて立ち去り、姫の面目を完全に潰してしまったのだ。

都を離れて数年経てば少しは成熟し、戻ってきたら当時のことについて何か説明してく...