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303話

「さらに二つの詩は、沈臨安が書いたものだ」

冷藍之が一瞬驚いた。「沈臨安?」

彼女はその三編の詩を手に取った。

まず目に入ったのは賀衍玥の詩だ。「黄鴨緑水に遊び、春意河州を暖む。春風二三里、忽ち緑の頭を見る」

とてもシンプルな春を詠んだ詩だった。

小さな子どもにはまだ多くの思いはなく、大人たちのように心の内を詩文に隠すこともせず、ただ素直に自分の見たもの聞いたものを書き記している。

シンプルながらも、その素朴さに味わいがある。

冷藍之は次の二編を手に取った。

「牧童黄牛に騎り、歌声林樾を振るわす。鳴蝉を捕らえんと欲し、忽然口を閉ざして立つ」

冷藍之の表情が急に微妙になった。

「人間四月芳菲尽き...