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272話

冷澜之の推測は間違っていなかった。

越王はちょうど小さな酒杯を手に、太子と冷澜之が彼の罠にはまるのを今か今かと待っていた。

彼は建良帝が太子を何よりも可愛がっていることを知っていた。他の息子たち全員を合わせても、おそらく太子の足の指一本にも及ばないほどだ。

だからこそ、贓物の件は現場で証拠を押さえなければ、建良帝に反論の余地を与えてしまう。

そうでなければ、建良帝は別の角度から言い訳を探し、太子に逃げ道を用意するだろう。

いずれにせよ、戸部に銀を返しに来るのが太子の使いであろうと冷澜之の使いであろうと、あらかじめ潜ませておいた手下に取り押さえさせ、彼らが否定できないようにするつもりだった!

彼...