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198話

見銭東家があまりの怒りで何も言えなくなった様子を見て、冷藍之が淡々と一言促した。

銭東家はそこでようやく思い出したように言った。「そうだ!証拠!私には証拠がある!」

杜老板は心の中で嘲笑した。

もしこいつの言う証拠が帳簿のことなら、あまりにも天真爛漫すぎる。

所詮、帳簿など偽造できるものだ。

名前を書くだけのこと、それが難しいだろうか?

唯一難しいのは印鑑くらいだ。

だが印鑑だって、盗むことができないわけではない。

銭東家は懐から帳簿を取り出し、震える声で言った。「皆様、この帳簿は杜徳貴と穀物や衣服の受け渡しの際に記録したものです。一目見れば私の言葉が嘘でないとわかります。どうか両大人に...