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176話

店の小僧が買ってきた凍傷の軟膏は非常に効果的で、塗ってしばらくすると、足の熱さとかゆみがかなり和らいだ。

冷嵐之は心中大いに喜び、明日小僧に幾らかの心付けを与えようと決めた。

真夜中、空には月が出ていないのに、大地はまるで純白の聖なる光に包まれたようで、何の明かりもなくとも前方の道がはっきりと見えた。

耳元で風が唸っているにもかかわらず、冷嵐之は少しの寒さも感じなかった。

力強い腕が彼女をしっかりと抱きかかえ、すべての厳寒を遮断し、あらゆる危険をも遠ざけているようだった。

どれほどの時間が過ぎたのだろう、風の音が止んだというのに、冷嵐之の鼓動はまだ落ち着きを取り戻せないでいた。

これは彼女と顧...