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132話

やはりそうか!

冷嵐之の眸に冷たい光が走った。

だが、すぐに疑問が湧いてきた。

この禾卿は確かに女だが、彼女の身からは先日嗅いだあの甘ったるい香りが微塵も感じられない。

自分の勘違いだったのか?

それとも、別の誰かがいるのか?

「姫様?」冷嵐之が近づいてくると、禾卿は背筋を伸ばした。

冷嵐之は手を伸ばし、その小さな耳たぶを摘んだ。

禾卿「!!!」

体が急に強張り、禾卿は慌てて数歩後ずさった。「姫様?何をなさるおつもりで?」

伽羅姫にそんな奇妙な趣味があるなんて聞いたことないぞ!

冷嵐之は淡々と言った。「安心しなさい、私は真っ当な人間だ。あなたに興味はない。ただ、あなたの耳の穴に興味があるだけよ...