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116話

その時、沈逸之は外で接待中だった。

朝廷での官職に就く可能性を断たれた彼には、今や商売の道しか残されていなかった。

自分は才能溢れ、優れた能力を持っているのだから、商売など造作もないと自負していた。

今年の気温の下がり方は非常に異様で、彼は今年の冬は例年より遥かに寒くなり、必要とされる冬着も普段より多くなるだろうと推測していた。

もし天候がさらに悪化すれば、暴雪が発生する可能性すらあり、そうなれば都で必要とされるのは冬着だけではなく、米や小麦粉、油なども不足し、大幅な値上がりを迎えることになるだろう。

商売を始める決意をした以上、大きく出るのが当然だった。

そして、これこそが彼のチャンス...