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939話

「黒十字のせいで……」

カリンセイのこの五文字を聞いて、私の顔色が一変した。

驚いたことに、カリンセイまでもが黒十字のことを知っているなんて。

私は心臓が震え、信じられない思いで彼女を見つめた。

カリンセイの愛を疑っているわけではない。愛がなければ、彼女は自ら進んで私についてくるはずがない。愛がなければ、女王の命令であっても、彼女は私に身を捧げることはなかっただろう。ただ、この一件があまりにも偶然すぎて、まるで陰謀のように思えてならない。

カリンセイは私の表情に冷たさが見られないことに安心したのか、嬉しそうだった。

彼女は私の首に腕を回し、私をゆっくりと自分の横に寝かせると、この長身の欧州の...