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850話

林若がストッキングを履く姿は確かに珍しかった。

彼女は元々、名家のお嬢様のような上品さと凛とした佇まいを持っていた。いつも服装を選ぶ際も、控えめで品のある雰囲気のものを好んでいた。

内に秘めた色気こそが、男性の征服欲を最大限に満たすものだった。

林若はその代表格だった。表面上は気品に溢れ、世界のどんな上流社会に行っても堂々と誇れる東洋の美女だった。しかし彼女の心の内には、ある種の反骨精神があった。彼女は元々、林氏集団という数千億の資産を持つ企業の出身でありながら、若い頃に40代の冴えない男性を好きになってしまった。それには相当な勇気が必要だったはずだ。

私には想像し難かった。この世に林若の魅力...