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840話

私はふと振り返り、思わず目を細めた。

来た人は、なんと久しく会っていなかった穆青だった。

彼はフォーマルなスーツを身につけ、その腕を組んでいたのは同じくイブニングドレスを着た林希児。今日の林希児はいつもの白一色ではなく、金色のドレスが華やかに輝いていた。しかし、かつての彼女にあった純粋さを見つけることはもはや難しかった。彼女は本当に大人になったのだ。結局、もう26歳の女性なのだから。

その身には消し去ることのできない成熟の痕跡が残っていた。

美しさは相変わらずだが、今の彼女を見ていると、心の中にぽっかりと穴が空いたような、何かが足りない感覚があった。何が足りないのか、まるで私が何かを手放したか...