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809話

唇をなめながら、体はスナの側にあるのに、心はさっきのトイレにあった。

さっき水で洗い流したはずなのに、蘇婵の手に残っていたあの香り、まさに女性の愛液の匂い……あの芳香、あの濃厚さ、あの想像をかきたてる匂い……

彼女の手に、なぜあんな匂いが……

言うまでもないことだ。

ふん……

あの光景は、想像するのも恐ろしい。

でも、なぜだろう。蘇婵の立場が微妙だからかもしれないし、彼女が本当に魅力的すぎるからかもしれない……こんな国を傾ける美女が、自分で手を使って解決するなんて？

これは本当に、もったいない話だ……

ああ、何を考えてるんだ！

スナがすぐ側にいるのに、頭の中はこんなことでいっぱい。思わず後ろめ...