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726話

劉洋と穆雨は、夜になると欲望の雰囲気に満ちるこの空母に乗り込んだ。林希児のいる部屋へと向かう。

穆雨は道中ずっと劉洋と口をきこうとしなかった。

それは劉洋の心を氷の窖のように冷え冷えとさせた。

彼は分かっていた。話したところで、どう説明すればいいのか見当もつかないことを。今の穆雨は既に先入観を持ち、自分がこの件のために彼女に近づいたのだと確信している。事実その通りなのだ……そんな状況で、感情面で繊細な穆雨が、自分が本当に彼女を愛するようになったことを信じるだろうか?

それに。

事態がここまで来てしまった今、自分にはもう彼女を愛し続ける資格も、能力も、力もないのではないか?

今の自分は風前の灯火...