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7話

幻想めく光と重金属の音楽、曖昧な空気と鼻をつく荷尔蒙が、私をめまいさせる。心の中で何度も自分に言い聞かせた、冷静さを保つようにと。

一階には八つのトイレがあり、丸二時間かけてようやく最後の一つにたどり着いた。男子トイレの掃除は難しくない。女子トイレは中の人が用を済ませるのを待ち、入口に「清掃中、立入禁止」の札を置いてから入ることができる。

「誰かいますか?」

ドアをノックした。

「ちょっと待って!お前、早くしろよ、できるのかよ!」中から女の声が聞こえた。とても美しい声だった。最初の言葉は明らかに私に向けられたものだが、後半は意図的に声を潜めていた。周囲の騒がしさの中、ドアに近づいていたから...