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576話

私は携帯を握りしめ、胸が張り裂けそうなほど緊張していた。

甄桃が唐剣に連れられて海外へ行ってから、ずっと音沙汰がなかった。実は心の中でずっと気にかけていたのだが、あまりにも多くの出来事に追われていた。

「もしもし……」

甄桃の声だ!

少し弱々しいものの、間違いなく彼女の声だった。

心の中の大きな石がようやく落ちた。

一気に気持ちが軽くなった。やはり助かったのだ。

「どう?具合は?」

私は微笑みながら尋ねた。

「うん、目が覚めたの……」

甄桃の弱々しい声を聞くと、胸が痛んだ。

頭の中に初めて会った頃の甄桃の姿が浮かんだ。活力に満ち、国も傾くほどの美しさを持つ彼女は、私が今まで見た中で最も美しい女...