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489話

「ようやく趙文昭が来た。

道中から漏れる爽やかな笑い声が、一気にこの剣拔弩張の雰囲気を和らげた。

穆青は目を細めた。

情歌は熱心に彼に挨拶し、警察官や武装警察も次々と道を開けた。秦博の持つ気場が疑いなく凛々しさと殺気の極みであるなら、趙文昭の持つ梟雄の気質もまた独特なものだった。

「趙文昭か?」

秦博が淡々と言った。

趙文昭は国内での知名度も高く、さらに趙家の当主息子でもあるため、秦博が知らないはずがなかった。

「秦司令、ごきげんよう!」

趙文昭はにこやかに笑い、謙虚な態度を見せた。

「ちょうど良いところに来たな。この件はお前と情歌の取引だったんじゃないのか?」

秦博が冷たく一喝すると、一気に...