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455話

小貴が一声叫び、顔色を変えた。

運転していた刑事は反応が速かった。車はちょうど一時停車していただけでエンジンはまだ切っていなかったので、私の叫び声を聞いた瞬間にバックギアに入れてアクセルを踏み込んだ。その突然の動きで温楠が私の腕から転げ落ちそうになった。

だが幸いにも。

それはとても間に合ったのだ。

なぜなら、ちょうどその時、先ほどまで故障しているように見えていたあのワゴン車が、突然エンジンをかけ、私たちの車に向かって突っ込んできたからだ。事態は突然で、もし私たちがそのまま座して待っていたら、山道の斜面に弾き飛ばされ、底まで転がり落ちていたかもしれない。幸い私たちの反応は早く、バックする際に車...