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416話

「林又苓の髪を掴んでいるのは、高身長で痩せた男だった。長い髪を垂らし、何というか、確かに少し格好良くて、独特な雰囲気を醸し出していた。一目で芸術関係の仕事をしている人間だとわかる。ボロボロのジーンズは、彼らの年齢層の好みに合っていた。

数人が楽器を手にしており、今は路肩に置いていた。どうやらバンドのメンバーのようだ。

おそらく五人という人数のせいか、彼らは傲慢な態度で、私のことなど全く眼中にない様子だった。

京城の夜の世界で長く生きてきたこれらの音楽浪人たちは、私のチェロキーを見ても、ちらりと目をやっただけで、全く気にも留めなかった。

世間を知り尽くした連中というわけだ……

「何するの、離して...