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36話

「どうしたんだ?」

先輩は俺のこの様子を見て、訊いてきた。

彼の口元にはまだピンク色の口紅の跡が残っていた。あの妖艶な女性が「キング・ゲーム」で残したものだ。四番目の先輩はさすがの賭博の腕前を発揮して、美女に当たるたびに兄弟の誰かを指名し、大いに楽しんでいた。

「何でもない、ちょっとトイレに行きたくて」

俺は深く息を吸い込んだ。店員が離れるのを待って、もう座っていられなくなった。

「先輩、ちょっと用事ができたんで、皆さんはゆっくり楽しんでください。一緒に来ます?」

俺は先輩に銀行カードを渡して会計を頼み、それから黄嫣の方を見た。

黄嫣の顔がさっと赤くなった。他の三人の女の子たちがからかい始め、...