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223話

汗。

松柏坊に着いてしまったが、幸いにも裏口だった。でなければ、私と甄桃のこの姿を人に見られたら面倒なことになる。

「どうしたの?」

甄桃は私の表情を見て、不思議そうに尋ねた。

「降りて、案内するから」

私は彼女のお尻を軽く叩いた。

「嫌よ、抱っこしてよ。ここは市街地じゃないんだから、何を気にしてるの……」

甄桃は駄々をこねるように私の首に腕を回し、降りようとしない。

「姉さん、ここは市街地じゃないけど、俺の会所だぞ」

甄桃もこんなにべったりする時があるとは、本当に可愛らしい限りだ。可愛いのは可愛いが、自分に面倒事を招くつもりはない。

「え?あなたの会所?あの何とか坊って言うやつ?噂...