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209話

博仁療養院

京都では、こんなに山水明媚な場所を見つけるのは難しい。しかも五環内という一等地で、八百畝もの広大な敷地が連なっている。この療養院にどれほどの投資がされているかが窺える。

だが今、私にはこの庭園のような環境を楽しむ余裕も、いわゆるアジア最先端の人材配置や設備を体感する気持ちもなかった。

今の私は焦りで胸が焼けるようだった。

蘇娜と翟羽の顔色も良くなかった。

蘇娜はこれほど長い間、小呶呶の世話をしてきて、本当に情が湧いていた。小呶呶はまるで楽しい天使のように、自分の前向きさで周りの人を感染させていたのだ。

「ねえ、ヤンキー、ここに何しに来たの?あなたが言ってた小さなお姫様っ...