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186話

少女は百元を取り出し、差し出した。

翟羽は口元を歪めて笑い、ビールの泡が乱れた髭に残ったままだった。彼はそれを適当に拭うと、愛おしそうに自分のギターに触れ、言った。「俺の宝物を少し休ませてやらないとな」

「まさか、ギターが休憩なんて必要ないでしょ?」

「ははははは……」

周りの数人が笑い声を上げた。

美しい少女もそれを聞いて涙から笑顔に変わり、澄んだ声で言った。「おじさんはやっぱり情に厚い人ですね」

翟羽は少女の涙が引いたのを見て、やっと笑顔で頷いた。「人は木や草じゃない、誰だって情がある。俺から見れば、草一本木一本にだって感情があるんだ、ましてや人間なら。お嬢さんは物語を持った人だな」

美し...