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9話

「雲想」は下校後に家に帰る途中、遠くから自分の家の玄関に寄りかかっている人影を見かけた。

相手は俯いていて顔がはっきり見えないが、白いTシャツにジーンズ姿で、長い脚が特に目を引いた。

ゆっくりと足を引きずるように近づいていく。

雲想は心の中で考えを巡らせた。葉詩語になってから、彼女は家族に会っていない。普段から人と接触しない葉詩語のおかげで、クラスメイトには彼女の異変は気づかれていなかった。

今、突然誰かが家の前に立っているなんて、もし親戚だったらどう対応すればいいのか分からない。

墨星澤は足音を聞いて顔を上げた。

二人の視線が合うも、誰も口を開こうとしない。

雲想は相手の顔を見...