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80話

墨星澤の効率は相変わらず素早かった。十分もたたないうちに、雲想の携帯に墨星澤の秘書を名乗る人物からメッセージが届いた。そこには墨星澤の自宅住所が詳細に記載され、最後には気遣いのある一言が添えられていた。もし道がわからなければ、案内してもいいと。

「それで?」

田小野は病院のベッドに横たわりながら、興味津々で尋ねた。

墨星澤が雲想を手伝うと知ってからというもの、彼女は腕の包帯を取り払って自ら見物に行きたくてたまらない様子だった。

実家の母親が目を光らせて退院を許さなかったからこそ、怪我をしていても騒ぎに参加できないでいた。

まるで孫悟空のように、そわそわと落ち着かない様子で雲想に電話をかけたい...