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57話

雲想はため息をつきながらスマホを見つめ、田小野が肝心な時に義理を通さないことに無力感を覚えていた。

顔を上げると、視界の端に誰かが彼女のスマホの方向を見つめているのが映った。

墨星澤は波一つ立てずに視線を戻し、再び黙って窓の外を眺めていた。

雲想はまばたきをし、心の中の小人が一瞬で発狂した。いつから彼は自分のチャットを見ていたのだろう?

幸い悪口は言っていなかったから、本当に恥ずかしい思いをせずに済んだ。

スマホがまた二度振動し、雲想は少し躊躇ってから、頭を下げて開いた。

田小野が送ってきたのは画面を埋め尽くすスタンプの嵐で、全て怒りに燃えた小人が人を踏みつける絵柄だった。

「想ちゃん、早く友...