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196話

「うわ、だめだめ、あなたってずるい!私も婚約させたい!」田小野は瞬時に反応して叫んだ。

「先着順よ」張暁琪は淡々とした口調で言った。

「それは私がさっき思いつかなかっただけよ」田小野は言うなり、すぐに雲想の方を向いた。「想、私たち姉妹みたいなもんでしょ?親戚になっても良くない?」

彼女は雲想との関係を盾に甘えていた。

「ふん」

雲想が答える前に、墨星沢は冷たく鼻を鳴らした。彼は息子に甘い父親ではないが、娘には甘くないという意味ではない。彼の愛しい人の娘が他人と婚約するなんてあり得なかった。

「あなた…」

「誰か泣いてる?」雲想は田小野の言葉を遮り、耳を傾けた。家の中から子供の泣き声が聞こえてき...