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19話

陸子鈞を見かけたせいで、雲想は一日中表情がさえず、何に対しても気力が湧かなかった。

江心憶は逆に楽しんでいて、もう緊張した様子もなく、遊園地の中でスリル満点のアトラクションを片っ端から楽しんでいた。

雲想はたいてい荷物番として残り、彼らが羽目を外すのを見守っていた。

「おい、おい、忠告しておくぞ」鐘政鳴は親友の首に腕を回し、耳元でこそこそと言った。「あの幽霊屋敷の奴、前に葉詩語にラブレターを渡したことがあるんだ」

「お前は何でも知ってるんだな」

墨星澤はクールに言い放ち、少し離れたベンチに座っている人を見た。相変わらず冷たい表情だったが、陸子鈞を見かけた時から、彼女は変わってしまった。目の奥...