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167話

田小野という人は結構腹黑いところがある。彼女はわざと体を横に向けた。表面上は雲想に周囲の様子を見せるためだが、実際は特定の人たちに見せるためだった。

「想、家の墨さんは元気?」田小野はさも何気なく尋ねた。

雲想は微笑んで答えた。「本を読んでるわ」

そう言いながら、彼女はビデオの向きを変えた。白いベッドの上で、一人の男性が枕に半分もたれかかり、手に持った本を真剣に読んでいた。雲想がカメラを向けると、その整った眉を少し上げた。嫌いな人を見たからだ。

何か言おうとしたが、雲想の表情に止められた。

彼女は田小野のことをよく分かっていた。

田小野と墨星澤はいつも反りが合わないのに、今日突然「...